前回に引き続いての南九州視察ツアーブログ!第二弾は「油津商店街のリノベーション」です。

VOL.1の「飫肥の町リノベーション」を見られていない方はコチラ

 

《シャッター商店街だった油津商店街》

「シャッター商店街」というのはこの数年よく聞くキーワードで、日本の課題でもあり、町創りやリノベーションで解決していく重要な課題であります。

私達シンプルハウスのベースである、日本一長~い(長いだけの)天神橋商店街では日々沢山の方々が来られ、そのような心配はないのですが(週末は賑わいすぎて怖いです^^;)、少し地方の方に足を延ばすとそりゃもう閑散とした商店街がよく目立ちます。

 

シャッターばかりの商店街はホント寂しい景色です。。

 

《課題解決には再定義が必要》

大前提の課題解決には、大きな商業店舗がやってきて地場の商店を駆逐していく手法の改善をせずでは解決しえないと思われますが、既得権益にもなってしまいがちな町の商店側も自らを磨くを怠ったからそうなった部分もあるはず。商店街という町に根差したスタイルを売りに、大きな商業施設に負けない魅力を常に磨いていかなければならないのは間違いないかと。

シャッター商店街となってなってしまったからには磨くでは手遅れでして、自らの魅力を再発見して、商店街を再定義していかねばなりませんね。

 

今回訪問させて頂いた油津商店街は1965年には80店舗ほどあった商店は2013年には28店舗に減少したそうです。

「猫すら歩かない商店街」と呼ばれたこともあったそうですが(なんちゅう言われようでしょう^^)、今では以前とは違う表情をもち、人々が集まる商店街に産まれかわりました!!シャッター街だった通りには4年間で飲食店やIT企業など29の事業所が入居。安倍晋三首相も地方創生の成功事例として紹介し、一連の盛り上がりは「日南の奇跡」とも称されているそうです☆

 

再生前の油津商店街。大きなスーパーが撤退した後に商店街の衰退が始まっていったそうです。

 

 

PAAK DESIGNの立ち上げ前からこの商店街の復活に関わっていた鬼束さん。

逆にここでの経験が今の飫肥の町リノベーションに繋がっておられるようで、鬼束リノベーションの原点とも言える場所。ご自身にとっても庭のように寛ぎながらご案内して頂きます。

 

商店街の各店さんに顔を出してはきさくにご挨拶。

沢山の方々がこの商店街復活に尽力をされたんだろうと思いますが、建築においては鬼束さんの関わりは相当凄かったんだろうと感じるほど、沢山の建物が鬼束さんの感性で蘇っています。

住宅と違って、店舗の収益性や事業の継続性が大事な商店街のリノベーションは建物のみならず、全体的なディレクションの視点がとても大事。

 

fan! -ABURATSU- Sports Bar & HOSTEL

鉄骨造の剥き出し感、さび止めそのままの色も最近ではリノベーションの意匠の一つとして随分認知されてきました。簡便に余計な足し算をしないのもリノベーションならではの建築文化かと思われますが、そんな空間をたっぷり味わえるのがスポーツバーでもあり、ホステルでもある「fan! -ABURATSU- Sports Bar & HOSTEL」

 

学生の皆さんが自由に落書きした壁面にはこのホステルの緩さがふんだんに感じられ、家にいるような?

いやもっと砕けていて、遊び場にいるような解放感があります。

 

シェアスペースとなるキッチンやダイニング。

ざっくばらんで合宿場のような空間。ここで様々な旅行者達の笑い声が夜遅くまで響いていたことでしょう。

商店街にいるような感覚は殆どなくですが、一歩出ると屋根付きのアーケードに人が行き交う利便性の高い場所。

飫肥の武家屋敷などのリノベーションとは全く違う側面を感じることができる、ここならではの工事の経緯を鬼束さんよりお聞かせ頂きます。

 

Self Cafe Space Kado

続いては無人カフェ・コワーキングペース・レンタルスペースでもある「Self Cafe Space  Kado

コロナ渦で進化した無人化、デジタルを駆使した施設となっています。

先端的文化をボコっとこの商店街の角地に持ってくる。

賑わいがある訳ではありませんが、静かに、でも人々の利用は活性化していく。

町の機能が変わっていく仕掛けを所々で感じますね。

 

京都の石巻さんはいつも通り話半分にそそくさと全体を見回します。

話を聞くのも楽しいですが、それ以上に建築物が語るものを読み解くのがこの視察の面白さ!

 

もう一度、軒下のブランコに目を向けると、うちの池田が無邪気にぶらんぶらんと楽しんでいるではないですか(‘ω’)

古い佇まいの中にエッジの効いた透明ガラスを入れて、そこにモダンさ漂う凜としたサイン。

ブランコで楽しんでいる人とセットになるととても目を引きますよねー。

 

サインの力はとても大きく、お聞きはしておりませんが鬼束リノベーションの中においても、ロゴやピクトグラムはとても重要な位置をしめているかと感じます。

 

《商店街の再定義はチャレンジの場》

数件廻らせて頂いて改めて感じます。

商店街の復活とは以前の賑わいを取り戻すことではなく、新しく再定義したコトやモノを形にしていくことだと。

この商店街には以前の賑わいが戻った訳ではありませんが、間違いなく活力が戻ってきております☆

既得権益から離れ、スタートアップやチャレンジしていく人達がここから産まれていくのでしょう!

 

油津商店街の見所はまだまだ沢山ありますが、ブログでのレポートはここまで!

是非、続きは現地に行って新しい復活を遂げた油津商店街を楽しんで下さいませ☆

 

                              シンプルハウス大畑

 

次回は遂に「いざ、ゆくさおおすみ海の学校」お楽しみに!