WORKS
断熱でシームレスにつながる|150
OUTLINE
- 所在地
- 大阪府
- 築年数
- 46年
- 面積
- 56.9㎡
- 工事費
- 1,500万円
- 工期
- 80日
※工事費・価格は施工当時の価格となります
DESCRIPTION
『この街が好き』。共働きのY様ご夫婦は、お互いの通勤と暮らしのバランスを考えて賃貸での暮らしをスタートさせました。慣れ親しんだご近所にいつしか惚れこみ、いつか手狭になって手放すかもしれないことを考慮しつつ、周辺でリノベを前提とした中古マンション探しをするようになります。
どちらも住宅関係のお仕事に従事されているY様ご夫婦。当初は新耐震、旧耐震基準への見解で意見が分かれていました。旧耐震基準でもOKな奥様は「旧耐震でも、管理状況が良ければ大丈夫。100世帯以上ある規模のマンションなら修繕積立金も潤沢で安心。外壁の塗装工事の実施もコンクリートの保護につながる」と、「新耐震のマンション派」の旦那さまを説きふせます。
旧耐震も視野に入れて、探すこと1年。ようやく内覧にたどり着いた物件は、バルコニーからの景色の抜け感がないため見送り。次に以前から「いいな」と思っているけれど、予算オーバーだった物件。先に内覧されていた方が、価格交渉に応じてもらえることになったとの情報を得て、Y様も内覧してみることに。結局その方は購入には至らず、Y様ご夫婦が購入することになりました。「実は、私は購入前に同行できなかったのですが、妻が良いと思うならここだろうと、判断をおまかせしました」と、旦那さま。あきらめない気持ちは運をたぐり寄せ、感性の信頼がいち早い判断につながりました。
プランニングは、室内の断熱性能を高めることを起点に始まります。1978年生まれのこのマンションは断熱材が入っておらず、熱が入りやすく、逃げやすい状態でした。バルコニー側と廊下側の壁面に断熱材を入れ、窓の内側にはインナーサッシを設置。断熱性能は7段階中4と、国が定める省エネ基準を達成できるほどに向上しました。そのおかげで、寒くなりがちな北側に位置する玄関まわりを、居室として取り込むことができるようになります。壁や建具を極力少なくし、エアコン1台で室内全体の空間を、心地よい温度にキープ。少しお仕事のできる空間、収納、クローゼット、洗面所がシームレスにつながります。
空間として独立させることの多い寝室も、LDKと一体化。ベッドまわりに腰壁を作るか迷ったものの、パーテーションのみに。これだけでも充分空間が区切られていますね。このパーテーションはなんと移動可能とのこと。「家族が増えた時に、LDKのどこかに部屋を新設しようと思っています。壁や建具、造作家具がないことで、自由度が増しますね。今を大事にしつつ、未来へは柔軟に可変できる空間にしています」。
「壁と窓の断熱」はデザイン面でも、心地よさをもたらしてくれます。マンションには付き物の梁と柱の凹凸。断熱材を入れることによって、壁をふかすことになり、梁と柱をの面を均一にすることができます。面と面が生むキリリとした直角と白い色が、剥き出しのコンクリートのラフさを引き締めます。
「私と夫の動線がかぶることが無くなりました」と、奥様。リノベーションでの断熱施工は、室内温度を快適にし、省エネによる長期的なコストを抑えるだけでなく、壁や建具が少なくなることで、空間にゆとりをもたらします。まずは目に見えない部分を整えることで、日常のストレスも軽減され、仕事も余暇も全力で楽しめる暮らしとなりました。